2016.02.21

怖がり倶楽部Ⅱ 【根岸競馬場】

 2月18日(木)


 「ねぇ、あなた」

 薄暮(はくぼ)の中で、ふいに背後から声を掛けられて飛び上がりそうになった。黒い犬を連れたマダムらしき女性が立っている。

 「見て」

 顎(あご)を杓(しゃく)って指(さ)したのは、金網の向こうに見える掲揚台(けいようだい)に掲(かか)げられた星条旗(せいじょうき)だった。
 金網の向こうは、『Yokohama Negishi Detachment』と呼ばれるアメリカ軍施設。
 いまだにアメリカが統治(とうち)している、いわゆる“日本の中にあるアメリカ”という場所。だから金網の向こうへ行くにはパスポートが必要だし、そこでのルールはアメリカのモノが適用されるという。

 「半旗(はんき)になっているじゃない…何かあったのかしら」

 「さあ」

 「私、毎日此処(ここ)を通るけれど、初めての光景よ」

 と、ポケットから携帯電話を取り出した。どうやら半旗の写真を撮るらしい…

 「Sit !!(お座り!!)

 ウロウロする犬にリードを引かれ態勢が崩れたのか、思わずキツイ調子の一言が口を衝いた。

 「ところで」

 満足に写真を撮り終えた様子のマダムを見ながら、『Yokohama Negishi Detachment』とは金網を挟(はさ)んで隣り合う、蔦(つた)が絡(から)まった廃墟(はいきょ)を指さしてみた。“廃墟マニア”と呼ばれる類の間では、非常に有名な建築物らしい。

 「なかなか、味のある建物ですね」

 「あぁ、根岸(ねぎし)競馬場ね。そう、“味”ねぇ…」

 といって苦笑いする様子が、随分と暗くなった雰囲気の中を伝わって来た。

 「そういえば孫が、何とかいうテレビゲームの洋館に雰囲気が似ているとか言ってたわね」

 …あぁ、バイオハザードか。

 まったく、アークレイ山の洋館(バイオハザードの最初の舞台)もどきの廃墟のすぐ裏が米軍施設だなんて…
 
 怖がり好きで空想好きな人間からしたら、話が出来過ぎている。


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2016.02.08

怖がり倶楽部な休日 最終回

 1月28日(木)


 足かけ6年、主に2人のメンバーと1人の部外者との計3人で活動してきた『怖がり倶楽部』も、この度、ひとまずの潮時を迎える事になりました。

 1号への青森栄転の辞令が、会社から下りた為です。

 1号の代わりになる人間などそうそう見つかるワケもなく、まぁ、ひとまず活動休止、サヨナラです。

 そんな理由でこの日は、“さよならパーティー”と洒落こんで、2度と来ないだろう時間を楽しみました。

 毎回活動を人知れず楽しみにして下さった数少ない皆様、長い間の御愛顧、本当にありがとうございました。


 おわり

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2015.09.08

怖がり倶楽部な休日 No.22

 9月3日(木)


 『8,000万年の地下宇宙、探検者求む』

 そうキャッチコピーに謳われる、福島県にある『あぶくま洞』。
 その文句通り8,000年前から続く鍾乳洞で、1枚目の写真が公開されている最深部。更にその奥には、未公開の洞窟が2,500m以上続いているらしい。それは途中から二手に分かれており、一方の終点は『鬼穴』と名付けられた長径140m、短径120m、深さ85mの巨大なドリーネ(陥没孔の事)、もう一方は終点がいまだに解明されていないと思った。


 【今回の出来事】
 ・行き先は倶楽部初の福島県。首都高→常磐自動車道→磐越自動車道を経た、片道260kmの道のり。
 ・1号が車を買い替えた。いわゆる“ハイブリッドカー”(電気とガソリンで動く車)。500万円はすると思われる。
 ・車内では延々と、『超時空要塞マクロス』というアニメ話で盛り上がっていたように思う。ノッて行けないオレは、サングラスを掛けているのをいい事に半ば眠っていた。
 ・イラストが得意な2号が描いてきた、『デビルマン』と『キューティ・ハニー』が秀逸だった。
 ・昼飯に『あんこうの唐揚げ丼』、晩飯に『友部の坦々麺』を食べた。
 ・日帰り温泉・『星の村ふるさと館』は真新しい施設で、貸切状態&入浴料¥400で、オレ的には★★★★☆だった。

 おわり

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2015.07.28

怖がり倶楽部な休日 No.21

 夏といえば、心霊。

 但し、霊といわれるモノに近いポジションにある高野山(こうやさん)の僧侶・権大僧正(ごんのだいそうじょう。最高位・大僧正に次ぐ位)様は、
 「『霊が見える』、『霊を感じる』という人間は、その人間の心の中にある雑念が、そのような形で反映されると思われる」
 と語る。つまり、
 『脳が、その人間の心の乱れに乗じて過去の経験から期待するモノを作り出し、見せた幻』 
 という事らしい。

 ちなみに、そんな人間が霊といわれるモノを見なくなる為には、
 「仏の教えを学ぶ事。僧侶の作法、行、写経、読経などを繰り返し体験していけば、雑念に対する防御ができるようになり、霊といわれるモノに対する感度が自然となくなってゆく」
 のだとか。

 そういえばボクが小学生の頃は、心霊を特集する番組が全盛だった。
 番組を通じて情報が刷り込まれ、例えば『滝の傍(そば)で写真を撮ると、霊が写る』と聞かされて、滝を見ればとゾッとして怖くなる…なんて過去もあったものだ。

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2015.06.08

怖がり倶楽部な休日 ⑳

 今回は、「絶景」というより他に書く事は何もない。

 あぁ、1ついうなら、

 お勤め人は休日も職場から電話が掛かってきて、大変だなぁ…ってコト。



★缶コーヒー『BOSS』のCMで、タモリとトミーリージョーンズが旅した列車。(井川線・奥大井湖上駅)Fullsizerender_37

★『きかんしゃトーマス』に登場する、“パーシー”(左)と“ヒロ”(右)。6月7日から運行するらしい。(大井川鉄道・千頭駅)Fullsizerender_36

★4月に訪れた『夢の吊橋』へ、怖がり倶楽部の2人と。職場からの電話を橋の真ん中で受けて、意気消沈する1号(白服)
 ( ̄人 ̄;)南無…Fullsizerender_38

 おわり

2015.04.29

怖がり倶楽部な休日 ⑲

 月の近くで輝く星(写真、左に輝く月に対して右中央に輝く小さな星)は、金星だろう。

 ボクが小学生の頃、ジョージ・アダムスキーという人物が「金星人に遭った」といって、当時の超常現象番組で盛り上がった記憶があるけれど…

 今だにココにひとり、そんな存在を信じ続けている男がいる。

 「ウィウィウィウィ…ウィウィウィウィ…」

 「どうした?」

 「こう口ずさむとUFOが現れるって、テレビでいってた」

 「………」

 金星の地表の温度は470℃、気圧は地球の90倍、そして濃硫酸の雲に覆われている…

 そんな過酷な環境で生命体が存在する可能性は“0”に近いと、オレには思われる。

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2015.02.21

怖がり倶楽部な休日 ⑱

 2月19日(木)

 静岡県の伊豆半島には、『伊豆七不思議』という七つの不思議な物語&スポットがあるという。
 ①『大瀬明神(おせみょうじん)の神池(かみいけ)』 ②『堂ヶ島のゆるぎ橋』 ③『手石(ていし)の阿弥陀三尊(あみださんぞん)』 ④『河津の鳥精進酒精進(とりしゅじんさけしょうじん)』 ⑤『独鈷(どっこ)の湯』 ⑥『函南(かんなみ)のこだま石』 ⑦『石廊崎権現(いろうざきごんげん)の帆柱(ほばしら)
 が、それ。

 今回訪れたのは『石廊崎権現の帆柱』がある、石廊崎の石室(いろう)神社。
 帆柱(船の帆を張る為の柱)は、海上30mの断崖絶壁に建つこの石室神社の枕木(まくらぎ)として、社殿の床下に横たわっている。その物語とは、
 「むかし播州(ばんしゅう。現在の兵庫県)から塩を運んでいた船が石廊崎の沖で嵐に遭い、その船の帆柱を「石廊権現(海上の安全を守る伊波例命(いわれのみこと))に奉納する」と誓って祈ったところ、無事に江戸に到着する事ができた。その帰途、約束をすっかり忘れていると石廊崎の沖で船が進まなくなり、嵐になった。そこで約束を思い出した船主が帆柱を斧で切り倒すと、帆柱はひとりでに波に乗って断崖絶壁に建つ社殿辺りまで打ち上げられていった。同時に嵐は鎮まり、船は無事に播州へ戻る事ができた」
 というモノ。

 久しぶりに怪しい写真が撮れたし、怖がり倶楽部の2人のメンバーはご満悦のご様子だった。


★石室神社の社殿。床下に横たわっている帆柱は、床板に開けられた小窓から見る事が出来たが、肝心の撮影を忘れた…Fullsizerender_27
★離れた場所から見た社殿のちょっとした全貌。Fullsizerender_13
★石室神社から続く、岬の先端にある熊野神社にて。2号(右)の身体に光が映っている…たぶん光線の加減。Fullsizerender_26
★2号(右)のテンションが少しおかしくなって、怖かった…Fullsizerender_18
★突如現れた巨大な虹。この後、空が赤く染まって土砂降りになった。Fullsizerender_15
★何度かご紹介した、下田(しもだ)にある大盛りで有名な『とんかつ一(はじめ)』。注文したのは“ミックス定食”。ご飯、味噌汁、キャベツ、スパゲティは減ると見るや、女将さんが強引に盛りにくる。Fullsizerender_17
★写真右から、“鳥の唐揚げ6切”、“カニコロッケ2切”、“トンカツ4切”、“メンチカツ2切”。3日後の東京マラソンに向けてコントロールしていた体重が、ご破算になった瞬間。Fullsizerender_25
★1号のは、『特々トンカツ』Fullsizerender_22
★厚さ1cm以上のトンカツが、3枚乗っていた…Fullsizerender_24
★最後は、伊東温泉のとある宿で、貸切露天風呂。怪しい仲ではございません。念の為…Fullsizerender_23
 おわり

2014.10.15

怖がり倶楽部な休日 ⑰

 10月9日(木)


 まぁ、いいんじゃないだろうか。楽しいし。

 なんの事かって、

 『最近すっかり怖い話とは無縁になったな、怖がり倶楽部』ってコト。そんなワケで今回も、『40歳代シングル男3人の温泉旅』ってトコロか。

 行先は、伊豆にある“ぬる湯”の名湯・『畑毛(はたけ)温泉』。

 ぬる湯ってだけあって、湯の温度は34℃~37℃。41℃前後のふつうに温かい湯を好むボクには、肩まで沈んでも震える感じだ。ぬる湯好きな2人には申し訳ないけれど、これからの季節、とうぶん此処は御免だな。
 

 それはそうと、

 最近ボクのブログやFacebookをご覧下さった方とリアルで初めて会うと大抵、

 「あの…男好きじゃないですよね?」

 なんて訊かれる。もちろん“その気(け)”はない。

 こんな写真を投稿すると、また訊かれそうな気もするが…

 まぁ、いいんじゃないだろうか。楽しかったし。

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2014.07.13

怖がり倶楽部な休日 ⑯

 7月10日(木)


 今回は、神奈川県・奥湯河原(おくゆがわら)にある『しとどの窟(いわや)』。

 『しとど』とは、“ホオジロ”などの山鳥の事。また『窟(いわや)」とは、“ほらあな”の事なので、「山鳥の洞窟」という意味だろう。

 有名になったのは、『源頼朝(みなもと の よりとも)』に関する言伝(いいつた)えらしい。

 治承(じしょう)4年(西暦1180年)、石橋山(いしばしやま)で、3,000騎の敵兵に対してわずか300騎で立ち向かい破れた頼朝は、土肥実平(どひ さねひら)らと共に湯河原に逃れ、その後、わずか6、7騎ほどで奥湯河原から箱根に掛けての一帯へと落ち延びた。この逃避劇の途中、『しとどの窟』に隠れていた所を、敵の梶原景時(かじわら かげとき)に見つかったものの、 景時の情けで難を逃れた。

 この部分が前述の言伝えで、『源平盛衰記(げんぺいせいすいき)』では以下のように綴られている。


 『敗軍の頼朝は、土肥実平、岡崎義実(おかざき よしざね)、安達盛長(あだち もりなが)ら6騎と『しとどの窟』の臥木(ふしき。倒れている木の事)の洞窟へ隠れた。

 大庭景親(おおば かげちか)が捜索に来て、「この臥木が怪しい」と言うと、梶原景時がこれに応じて洞窟の中に入り、頼朝と顔を合わせた。

 頼朝は「今はこれまで…」と自害しようとしたが、景時はこれを押し止め、「お助けしましょう。戦に勝った時は、お忘れ給わぬよう」と言うと洞窟を出ていき、「蝙蝠(こうもり)ばかりで誰もいない、向こうの山が怪しい」と叫んだ。

 大庭景親はなおも怪しみ自ら洞窟へ入ろうとしたが、景時が前に立ち塞がり、「私を疑うか。男の意地が立たぬ。入ればただではおかぬ」と詰め寄った。

 これに大庭景親は諦めて立ち去り、頼朝は九死に一生を得た』



 もっとも、

 例の怖がり倶楽部の2人が興味を持った理由は、こんな学(がく)のある事ではなく、

 『“しとどの窟”に並ぶ地蔵の中に、首なし地蔵を3体見るような事があれば、それは死期が近い事を暗示する』

 なんて都市伝説に、反応しての事だったけれど…


★『しとどの窟』動画
     


★『不動滝』にて、1号。シャワーで頭を洗っているポーズ022

★その傍にあった顔出しパネル016
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★何度か登場している、厚木のホルモン焼肉屋『だるま』。このボリュームで、ひとり約¥1,000チョット036

★怖がり倶楽部の2人に挟まれた、一般人のボク034

おわり

2014.04.21

怖がり倶楽部な休日 ⑮

 4月17日(木)

 外の景色を眺めながら、「そろそろ老後の為に『マンション投資』でも…」なんて2人が話すのを聞いていた。オレの友人はそのグループ毎に盛り上がる話題の系統が違うけれど、この怖がり倶楽部をはじめとした眼鏡学校時代の友人は、お金に絡む話題だなって思う。
 さて、今回は西伊豆・堂ヶ島。肝心の怖がり活動は、今回も「なし」。


 ★『青の洞窟めぐり』
 “天窓洞(てんそうどう)”と呼ばれる、白い凝灰岩(ぎょうかいがん)からできた海蝕(かいしょく)洞窟の地下は蜂の巣のようになっている。その洞窟中央の天井は丸く抜け落ちていて、そこから差し込む光の帯が海面を神秘的な青に染めていた。
     

 まぁ、あんた達が楽しいってんなら、あたしゃ幸せだよ(まる子調)091_2
 ★『三四郎島』
 “トンボロ現象”といって、干潮時、中でもその潮位が最も低くなる日には、島を行き来できる道が現れる。この日がそうだった。 3
 港にいた海女(あま)さんが時計を見ながら、「この時間(午後2時)じゃあ、道はもう海の中。また明日おいで」と教えてくれたけれど、やって来たらまだ在った。伸びている道の長さは30m程で、そこを1号と共に(2号は留守番)急いで三四郎島へ渡り、15分程して引き返した。引き返す途中では、満ち始めた潮に道が消されかけて危うかった…反省。055_2
 満ち始めた潮が、道を消してゆくのをぼんやりと見ている1号(左)と2号(右)。ちなみに左から、『伝兵衛島』、『中ノ島』、『沖ノ瀬島』、『高島』と並んでいる。見る角度によって、三つに見えたり四つに見えたりする所から、総称して『三四郎島』と呼ばれているらしい。Photo_2
 ★『加山雄三ミュージアム』
 今回、「なぜ堂ヶ島か?」といえば、加山雄三の番組『若大将のゆうゆう散歩』ファンである2号のリクエストを叶えた形。切符売り場のお姉さんに写真を撮って貰った。なんだよー、若大将だからギターのポーズだろ076_2
 ★
『とんかつ一(はじめ)
 前回に引き続き訪れた、下田のデカ盛りのお店。注文したのは『ハンバーグ定食』。そのうち、およそ500gあると思われるハンバーグ以外のスパゲッティ、キャベツ、カレーライス丼、味噌汁は、食べて減ってくるとお店のご主人に、「いらない」というまで横から盛られ続けるとゆー手荒いサービスに変わりはなかった。オレはご主人に背を向けた形だったため免れたけれど、対峙した形の1号はカレーとスパゲティを盛られていた…。“チキンライス”を注文した2号は食べきれずに、残した分をタッパーに詰めて貰いお持ち帰り。タッパーシステムの発見は、嬉しい収穫だった。
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 おわり

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