2013.12.02

ココのトコロ ⑬

 11月28日(木)


 昼間、そこに見える銀杏の木の下で、花屋が店を広げていた。

 店先に並ぶたくさんの花に混じって置かれた、小さなオモチャのかざぐるまがクルクル回るその向こう側で、ぽつんと店番をしている女性(ひと)の横顔が、昔ちょっと知っていた女性に似て見えて、花を買う素振りで近寄ってみたけれど、違った。

 ホッとした。

 
 変わっているだろう今の姿や生活を知らずに済んだから、ホッとした。

 理由は、当たり前のそんなトコロ。

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2012.09.19

苺谷の婚活

 その店へ何度か通ううちに、

 44歳独身の苺谷(いちごたに)は、小柳ルミ子似のチーママに恋心を抱いたらしい。

 そんなチーママの姿を眺めているだけで、彼は幸せらしいのだが、

 それを察した同僚達が面白がって、チーママとチーママの恋愛感について盛り上がるワケだ。

 チーママがのたまうには、

 「独身男性は、本気になられると面倒だから付き合わない」のだそうで、「付き合うなら、向こうも割り切れるだろう家庭持ちである既婚者に限る」らしい。

 
 な、苺谷。お客である人間との“お付き合い”とは、そういう付き合いだ。



 そんな苺谷が来月、人生初の集団お見合いに参加するらしい。

 
 「アドバイスはないか?」と訊ねられたので、

 とりあえず、携帯電話くらい買って持って行くようにアドバイスした。

 彼は携帯を持っていない。このご時世、メルアド交換は必至だろう。


 つづく…たぶん
 
 
 
 

 
 

2010.03.27

同情

 夜遅く、通り過ぎようとしたバナナリパブリックの店。その表の階段に座りこんで、携帯電話片手にさめざめ泣いている女性がひとり。


 彼女は何度か反らしては見て、と。携帯電話の画面に、何かを探しているように見えるのです。


 『さては、彼氏に決定的な一言を言われたのだろうか…』
 『だとしたら、メールでそれを告げる男って、どーよ』
 『可哀想に…そんなに泣きなさんな』


 などと、いま同じ様な“岐路”に立たされようとしている自分は、そんな勝手な思い込みから生まれた同情だけ残してただ、通り過ぎていくのです。


 なんだかその女性に、そんな時の自分を見ているようだ。

2010.02.14

バレンタイン

 中学1年生の時に、クラスに仲のいい女の子がいました。僕は、ホントは好きだったのに、言えなかったんですね。

 バレンタインが近くなったある日その子が、「バレンタインに義理チョコをあげようか?」と言ってきたんです。

 恥ずかしかったし、「いらない」と断りました。

 それなのに、会う度にまた聞いてくるんです。その度に「いらない」「いらない」と言って断って。

 バレンタインの当日友人から、「あいつ、チョコ持って来てるぞ」と冷やかされて、その子を避けて、授業が終わると同時に走って家に帰りました。

 翌日から、その子と僕は、疎遠になりました。

 そして、その子も僕に好意を持ってくれてたって事を、3年生になった時に、その子の友人から聞いて知りました。

 

 好きだったのに、僕はバカだなぁ。