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2016.12.26

不感傷旅行

 12月22日(木)


 ついでにさっき突風に瞬殺されたビニール傘の捨て場所を探しながら、荒涼とした浜辺を歩いている。
 “東洋のドーバー”と呼ばれる地。
 どうやら今年のプチトリップ(ちょっとした旅)は、此処が最後らしい。

 「まったく…時澤君は私の誘いを悉(ことごと)く断わるけれど、一体何処で何をしているんだ?」
 そういって苦笑していた先輩の顔も、もう見る事は叶わなくなってしまった。つい2週間前の話。

 感傷に浸る事はもうないが、それでも最期(さいご)に問われた事に応える形で連れてきたつもり。

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2016.12.19

PEPPER'S DRIVEIN

 12月7日(木)

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2016.12.07

モリソン書庫

 12月1日(木)

 東アジアに関する欧文の書籍や絵画など約24,000点が収められている、日本で最も美しい本棚。
 

 「“ニコラス・フラメル”の事を調べた図書室みたいじゃない?」
 本棚の前のソファに、2人の女学生が腰かけながら話をしている。
 「誰?それ」
 “ニコラス・フラメル”とは『ハリーポッターと賢者の石』に名前だけ登場する、“賢者の石”を造ったとされる人物だ。
 「それよりさ」
 「なに?」
 「さっき居たお爺さん、あそこの青い背表紙の本に触ってたよね」
 つられてその娘(こ)が指さす方へ目を向けたが、彼女たち以上に本棚からは離れていたので、どの本なのかは分らなかった。
 「そう?触ったなら、カメラで監視しているスタッフが飛んで来るんじゃない?」
 
 雨のせいか、今日の来館客は極端に少ないらしい。
 「いこうか」
 彼女たちが立ち上がり部屋を出て行くと、ひとりになった。
 特に後ろめたい事をするつもりもなかったが、あらためて周りに人がいない事を確認してソファに腰かけた。そしてあの娘が指していた青い背表紙の場所に検討を付けて、そちらへ歩み寄る。
 『INDIA CORAZON』
 背表紙に記された苦手なアルファベット。それを拾いながらスマホのアプリで翻訳すると、『インドの心』という意味らしい。
 これがどうしたというのか…

 「本には触れないで下さいね!!」
 後ろから咎(とが)める様な声を浴びせられ、思わずスマホの電源を切った。きっとスタッフだろう。
 本へ手を伸ばしてはいなかったが妙に罪悪感が生まれて、本棚に向いたまま『OK』というつもりで軽く手を挙げた。
 まったく面倒くさい事になった…
 と、ひとつ溜息をついた。
 

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