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2016.07.25

怖がり倶楽部Ⅱ 【東尋坊】

 7月14日(木)

 
 夕方近くになって、風が出てきた。

 福井県北部に位置する東尋坊(とうじんぼう)。海食によって海岸の岩肌が削られ、高さ約25mの柱状節理(ちゅうじょうせつり。岩体に入った柱状の割れ目のコト)の崖(がけ)が、延々と1kmに渡って続く景勝地。だが一方で、“自殺の名所”という事でも知られる。

 「キャッ!!」

 前方の岩場で写真を撮っている女子の間から、声が上がった。
 「フナムシだらけじゃん!!ココ!!」
 「死体が上がるって場所だからよ」
 「フナムシって、死骸を食べるっていうものね」

 …そういう解釈も面白い。
 沖に目を移すと視界に入る、黒いシルエットが雄島(おしま)らしい。『土地の人間からは、“神の島”として崇(あが)められている』と、此処に来るまでの列車の中で読んだスマホの情報で知った。それと、『東尋坊から投身した遺体の多くが潮の流れで雄島へ漂着する事から、雄島を時計回りと逆に周回すると死者の世界へ連れて行かれる』という、何とも有りがちな“都市伝説”も。

 といはいえ、今回はそんな“怖がり”の好奇心から訪れたワケではない。福井観光ポスターに起用された東尋坊の写真に惹かれていたところに、所用で福井を訪れる機会に恵まれた為だった。

 …やせ我慢して、崖(がけ)っぷちまで行く事もないよな。
 沖からの強風にどうかすると飛ばされそうになる麦わら帽子を手で押さえて、岩場の途中で立ち止まった。
 崖を叩き付ける波が、先ほどより勢いを増した様にも見える… 

 『旅先からふる里へ、電話してみませんか』

 先ほど、この岩場に出る途中で通り過ぎてきた電話ボックスに、“救いの電話”という文字と一緒に書かれていたそんな言葉が、ふと切なく思い出された。

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2016.07.24

夏旅

 6月30日(木)


 昨年夏、ひょんな事から手にした新潟県・出雲崎(いずもざき)の観光PRパンフレット。

 それを頼りに、大見出しでそこに載っていた光景を観たくて訪れてみたら、個人所有の空家の庭からでないと拝めないモノだった。

 アレは、反則だったな(笑)

 今年もそんな季節の到来。

 13592778_1043790935710328_865238932 『千葉県・鋸山(のこぎりやま)山頂にて』

五月雨の明月院

 6月23日(木)


 閉門時間からすでに20分が経つが、見事な紫陽花に彩られた参道の石段は、花を楽しむ参拝客で賑やかだ。

 「閉門でーす!!閉門!!」

 業(ごう)を煮(に)やしたのか1人の僧侶が石段の最上段に現れ、声高に叫びながら参拝客を出口へと追い立てるように下りてくる。

 随分前から、石段の最下段辺りに屯(たむろ)しているカメラ愛好家の一団に、オレも加わっていた。
 殿(しんがり)で下りてきたその僧侶が一瞥(いちべつ)をくれながら横を通り過ぎてゆくと、さながら会見場に現れた芸能人にフラッシュがたかれるように、誰もいなくなった石段の光景に向かって、一斉にシャッターが切られるのだった。

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2016.07.19

服部農園あじさい屋敷

 6月16日(木)


 「…やっぱり」
 雨の中を歩き始めて間もないのに、靴の中の湿った感触に軽く舌打ちした。やはり、どこかに穴でも空いているようだ。 

 目に入った『服部農園あじさい屋敷まで3km』という案内板は、この季節になると誰かが立てるように思えた。
 千葉県茂原にある紫陽花の名所。農園を営む服部さん一家が暮らす屋敷の広大な庭に、10,000株以上の紫陽花が咲くところからその名前が付いたらしい。

 案内板の近くに見つけた錆びたシャッターが下りた商店の軒先に入り、服部農園の帰りに海へ出るつもりでザックに入れてきたビーチサンダルを取り出した。

 同じ房総半島でももっと中央に位置する麻綿原(まめんばら)高原ではこの季節、至る所で蛭(ひる)が足に付いて血を吸うと聞くが、まぁ、此処は大丈夫だろう。 

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